本ページは、日本で栽培されているきのこを集めました。
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栽培きのこ

博多スギタケ
020ヌメリスギタケ
ヌメリスギタケ
傘の上にできるササクレ状の鱗片に特徴のある菌。里山から深山まで広く分布する木材腐朽菌。モエギタケ科の菌でナメコと近縁。湿るとその名の通り粘性を帯びる。鱗片は柔らかく、特有のヌメリと柄のシャキシャキした食感が特徴で美味。和風の汁物やヌメリを生かした中華などとの相性が良好。原木栽培、菌床栽培共に可能で、菌床栽培の場合1度の栽培に90日ほどかかる。特徴のある外観からきのこ狩りでも良く採集されるが、似た外観を持つ菌が多く存在し、特にツチスギタケなどは有毒などで注意が必要。ヌメリの有無や発生地の違いなどで判別できるが、収穫された後のものを判別するのは容易ではないこともある。当然であるが栽培ものについてはそういった心配は無く安全。
019クロアワビタケ
クロアワビタケ・オオヒラタケ
クロアワビタケ(Pleurotuscystidiosus subsp.abalonus)はヒラタケ科の菌であり、台湾で栽培されていたものが我が国に持ち込まれて栽培が開始された。おそらく国内では自生していないものと思われる。南方系の菌で低温に弱く、菌株を冷蔵保存すると死滅してしまう。一方、オオヒラタケ(Pleurotuscystidiosus subsp.cystidiosus)は我が国にも自生しており、初夏から初秋にかけてケヤキ、ポプラ、プラタナスなどの枯れ木、切り株、立木の損傷部などから発生する。これら2種は、種のレベルで別の菌とされていたが、非常に近縁な菌で、現在では亜種のレベルの違いであるとされている。どちらの菌も培養すると、菌床上部などに高さ1~2mmの分生子柄束を形成し、その上に大量の分生胞子を含む黒い粘液を分泌する特徴がある。この分生子柄束は子実体の基部にも少量形成され、消費者に誤解されやすいがカビや虫などではなく問題はない。気になるようであれば洗い流すか拭けばよい。どちらもマイナーな栽培きのこであるが、食用きのことしてはクロアワビタケの方がやや流通が多いようで目にする機会が多い。香りにくせは無く淡泊な味わいで、コリコリとした食感が非常に美味。和食・洋食・中華と何にでも合うが、特に炒め物や天ぷらなどの油を用いる料理との相性が非常によい。一般的な他の生鮮きのこと比較すると水分含有量が少なく、非常に日持ちが良いことも流通上の魅力である。オオヒラタケについてはオオクワガタなどの飼育用にもよく利用されるようであるが、ウスヒラタケのことをオオヒラタケと呼んでいることも多いようで実体は不透明である。
018ササクレヒトヨタケ
ササクレヒトヨタケ
春から秋にかけて庭園などの草地や畑地、道端、堆肥などに群生する。草本の腐植成分を分解する腐植分解菌であるため、肥えた土を好む。自然界では柄の長さ15~25cmと大型の子実体を形成する。初め傘は閉じていて棒状で、成熟すると釣り鐘型に開き、直径3〜5 cmほどとなる。その後傘の縁から自己消化で黒く溶ける。そのため傘が開く前の若いものを選んで食用にする。フレンチではコプリーヌと呼ばれ、高級食材。似た形状のヒトヨタケと混同され、ヒトヨタケと同様にアルコールと一緒に摂取してはいけないと誤解されることがあるが、本菌は原因成分のコプリンを含まずアルコールと共に摂取しても安全である。そもそも本菌は分類群においてもヒトヨタケと類縁ではなく、マッシュルーム(ツクリタケ)に近いハラタケ科の菌である。(近年の遺伝子系統解析により、従来のヒトヨタケ科からハラタケ科に移された。)栽培はバーク堆肥などを原料とした菌床栽培で行い、1度の栽培に60日から80日程度かかる。栽培ものは天然物よりは幾分小さく、全長5cm程度ものが流通している。香りにくせはなく、味にはこくがあり、和風、洋風いずれの料理にも合う。傘はマシュマロの食感、柄はホワイトアスパラのような食感でどちらも美味。
017ヤナギマツタケ
ヤナギマツタケ
初夏にハコヤナギ類、カエデ類、ニレ類などの広葉樹の枯れ木や生木の腐朽部に発生。公園の植木や街路樹など身近なところに発生することも多い。自然界では傘の直径5〜15cm、柄の長さも10 cm前後となり比較的大型の子実体を形成する。名前の上からマツタケと近縁な菌と誤解されがちだが本菌はモエギタケ科(以前はオキナタケ科とされていた)であり、マツタケとはあまり類縁性はなく、むしろナメコに近い。香りは穏やかでくせはなく、様々な料理に合う。栽培ものは天然物より小さく、柄のシャキシャキした食感を楽しむ料理にすると、エノキタケとは異なる個性が光る。菌床栽培・原木栽培共に可能で、菌床栽培では年4〜6回転栽培が可能。
016タモギタケ
タモギタケ
初夏から秋にかけてニレ類、カエデ類などの倒木、切り株に発生するヒラタケ属の食用菌。ロシア極東地方から中国北東地方、韓国などに分布する北方系のきのこで、日本では東北以北に多い。特に北海道で多く、よく利用されている。傘の表面が鮮黄色となり非常に目立つきのこ。傘の中央はややへこみ、柄の基部で複数の子実体が癒着して株立ちとなる。独特の香りがあるものの、歯切れが良く、良いだしが出て美味。菌糸の伸長が非常に早く、菌床栽培の場合最短20日から30日で栽培可能。傘がもろくかけやすいので出荷では注意が必要。栽培効率と味を考えればもっと普及しても良いと思われるが、知名度の低さや独特の色合いが普及する上での障害になっているものと思われる。
015ハナビラタケ
ハナビラタケ
葉牡丹のような外観のきのこで、不規則に波打つしわに覆われる。カラマツ、モミ、トドマツなどの針葉樹の根元や切り株に発生。心材を褐色腐朽する。紛らわしい有毒きのこは無く、形態からの同定も容易である。海藻を思わせるコリコリとした独特の食感で、歯切れが良く美味。独特の食感を生かした、炒め物や和え物などと相性がよい。またきのことしてはかなり日持ちが良い。栽培期間は60〜75日程度で、針葉樹のおが粉で栽培可能。近年海外で、これまでハナビラタケと呼ばれていたきのこは実は2つ(あるいはそれ以上)の種に分かれていることが明らかになり、我が国においても同様に2種に分けられる可能性が指摘されている。
014ヤマブシタケ
ヤマブシタケ
ブナ、ミズナラなどの広葉樹の立木や枯れ木に発生し、材の白色腐朽を起こす。以前はヒダナシタケ目に含まれていたが、近年のDNA解析の結果、ベニタケ目に移された。球形で傘を分化せず、上部を除く全面から無数の針を垂らす。多孔質で内部はスポンジ状。山伏の篠懸(すずかけ)と言う衣装の房飾りに似ることからこの名前がついた。ヘリセノン類、エリナシン類と言った神経細胞に作用する機能性物質が見つかっており、健康食品としても期待されている。栽培期間が30〜60日程度と短期間で栽培可能であり、年間6回転以上の栽培が可能。スポンジ状であるため汁物との相性が良く、良いだしが出る。天ぷらやフライなどしっかりと衣を付けた上で揚げ物にしても美味。
013アギタケ
アギタケ
前述のハクレイタケ同様こちらもエリンギの変種。Ferulaassa-foetida(中国名:阿魏)と言うセリ科植物の枯死した根から発生し、エリンギとは宿主植物が異なる。中国において栽培化・育種が進められ、日本では2000年代後半に長野県で栽培が始まった。阿魏に発生するのでアギタケという名となった。エリンギより傘が大きく、茎は細い。食感はエリンギに似ており、しっかりとしたうま味を持つ。
012ハクレイタケ
ハクレイタケ(バイリング・アワビタケ)
2003年頃に中国からもたらされ栽培が始まったヒラタケ科のきのこ。エリンギや後述するアギタケと近縁で、本菌は以前Preurotusnebrodensisというシチリア産の別のきのこの学名が当てられていた。しかし、近年の研究の結果、本菌、エリンギ、ハクレイタケの3種は全て種レベルでは同種であることが示され、現在ではエリンギの変種としてPreurotuseringi var. tuolienensisの学名が当てられている。おそらくエリンギが中国で育種され、変化したものであろうと推定されている。エリンギよりも大型の子実体を形成し、味も良い。淡泊な味わいだが、鮑(アワビ)のような食感を生かして中華風の煮付けなどなどにすると個性が光る。現在のところ大手メーカーが栽培しておらず、見た目にインパクトがあるため、小規模な生産者にとっては差別化を図りやすいきのこと思われる。和名については混乱しており・中国での商品名「白麗菇(菇=茸の意)」の中国語発音をそのままカタカナにした「バイリング」という呼び名が最もよく使われているようであるが、漢字文化圏のものを和名にする際は漢字を音読みするのが慣例であるため、「ハクレイタケ」という呼称も強く支持されている。商品名としては「ユキレイタケ」・「アワビタケ」などの名前もあるが、「アワビタケ」という呼称はウスヒラタケやオオヒラタケなど他のヒラタケ科のきのこでも使われることもある上にクロアワビタケという和名のきのこ(後述)もあり、混乱に拍車をかけている。
011ホンシメジ
ホンシメジ
秋にアカマツ林やコナラ林で発生する。昔から「香りマツタケ、味シメジ」として広く好まれた食用菌。傘の直径は2〜8cmになり、栽培もののブナシメジより大型。柄の株が膨らむ特徴があり、それを大黒様のお腹に見立てて「大黒しめじ」とも呼ぶ。菌根菌としては現在のところ唯一実用レベルでの菌床栽培が可能な菌。本菌はある程度のデンプン分解能を有するため、それを利用し大麦などの穀粒を原料として菌床栽培を行う。培地原料が木粉などより高価で高度な栽培技術が要求されることから流通価格は栽培きのことしては高価だが、味は極めて良い。くせのない香りと風味で、しっかりとしたうま味があり、独特の形状と相まって食感も良い。和食・洋食・中華いずれにも合わせやすく用途も広い。以前は日本あるいは東アジア一帯にのみ分布すると考えられていたが、最近になってスウェーデンからも発生が報告された。おそらくこれまでは形態の似ているハタケシメジと混同されていたものが、遺伝子解析が可能となり本種と断定できるようになったためと考えられ、今後より広い範囲での分布が報告される可能性が考えられている。